電力株比較・今後の見通し:2019年 2020年(原発再稼働の状況・配当金の増配減配)

大手電力会社の2019年11月8日時点の株価、実績PBR、実績BPS、1株配当は次の通りです。

電力会社 株価 実績PBR 実績BPS 1株配当 配当
東京電力(9501) 507 0.36 1427 0 無配
中部電力(9502) 1578 0.63 2486 50 増配
関西電力(9503) 1260 0.70 1800 50 増配
中国電力(9504) 1484 0.81 1831 50 維持
北陸電力(9505) 825 0.53 1550 0 無配
東北電力(9506) 1138 0.71 1596 40 維持
四国電力(9507) 1152 0.70 1640 30 維持
九州電力(9508) 981 0.87 1131 35 減配
北海道電(9509) 552 0.65 844 10 維持

原発再稼働を実現している3社:関西電力、四国電力、九州電力

現在、原発再稼働を実現しているのは、関西電力、四国電力、九州電力の3社です。

■ 関西電力(4基 稼働):高浜3号機、高浜4号機、大飯3号機、大飯4号機

■ 四国電力(1基 稼働):伊方3号機

■ 九州電力(4基 稼働):玄海3号機、玄海4号機、川内1号機、玄海2号機

原発再稼働の賛否はさておき、電力会社にとっては原発再稼働によって大きな利益が得られることから、関西電力、四国電力、九州電力の3社にとっては原発再稼働している状態であるかどうかが、営業利益、経常利益に大きく影響することになります。

※ 九州電力は2019/10/31に下方修正を行ったのは、「火力発電用に調達していた液化天然ガス(LNG)余剰分転売での損失が拡大」したことが原因であり、原発再稼働を実現している関西電力と四国電力は非常に良い決算結果となっています。

増配が期待できる電力会社:中部電力と関西電力

中部電力は2014年から5年連続で増配を続けています。2020年3月期予想の1株利益は218円であることからも、まだまだ増配余地があります。最近の傾向として、年度末の引け後に増配を発表しており増配がある場合、今回も2020年3月26日前後に発表される可能性があります。

2019年度の年間配当は50~55円。2020年度の年間配当は55円~60円を予想しています。

関西電力は、中部電力に比べると増配可能性は高くありませんが、最近の日本企業の株主還元の姿勢や、以下の通り2011年まで年間配当60円を継続していたことを考えると、現在の業績からして年間配当を60円に戻す可能性があります。現在の一株利益「156円」から考えると、年間配当60円は難しくない数字ではあります。

2019年度の年間配当は50~55円。2020年度の年間配当は50円~60円を予想しています。

関西電力:対策施設完成の遅れ・最終的に原発7基体制

関西電力では「金品受領問題」が報道で大きく取り上げられましたが、この点は業績にとって良い影響を与えないのは確かですがあまり大きな影響はないと言えます。それよりも気にしておくべき点は、原子力規制委員会が義務付けた対策施設の延長を認めないことを決定したことは業績に大きく影響することからこの点は注意する必要があります。

関西電力(9503)テロ対策施設完成の遅れでも原発全ての同時停止はないスケジュール
2019年4月24日に原子力規制委員会が原子力発電所に設置を義務づけるテロ対策施設について完成期限の延長を認めないことを決めたことで、関西電...

ただし上記記事でも書いた通り、関電が予定通り対策施設を完成させれば原発がすべて同時に停止することはないことから、現在の株価はリスクを織り込みすぎだと言えます。また、九州電力のように対策施設完成を前倒しにできる可能性もあります。ネガティブな点は以上です。

ポジティブな点としては、関西電力では最大7基の原発を再稼働できる点です。こちらも安全対策の工事完了次第ですが、これが実現した場合には株価2000円以上、年間配当80~100円となる可能性が高いと言えるでしょう。

東京電力:莫大な賠償費用があるが、原発再稼働次第で復配も

東電力HD「中間連結純利益369%増の4206億4200万円」という巨額の利益を出している企業ではあり、電力会社の中で最も利益を出しています。

しかし、それ以上に莫大な賠償費用があり、配当金を出すのが厳しい状況にあります。

 会計検査院は、東京電力福島第一原発事故の賠償や除染費用などに充てる公的資金が上限の13・5兆円に達した場合、東電から全額を回収するのに最長34年かかるとの試算を発表した。

それでは、この先10年、20年も株価低迷と無配当が続くのかといえば、そうではなく例えば、安全適合性審査に合格済みである柏崎刈羽6号機と柏崎刈羽7号機が再稼働が実現した場合には東京電力は巨額の利益を得られることから、このタイミングで復配となる可能性があります。

ただし、新潟県としては「原発事故に関する3つの検証の結果が示されない限り、原発再稼働の議論を始めることはできない」という見解を示している状況であり、再稼働が難しい状況にあります。一方、柏崎市については、柏崎市長は原発再稼働に理解を示しています。

中部電力:原発再稼働なしでも大きな利益を出せる電力会社

中部電力は次の4点から、原発再稼働なしでも大きな利益を出せる電力会社になっています。

1. ギネス認定された最新鋭の高効率LNGを火力主体としており、原発の再稼働なしでも安定した大幅な黒字を実現することができる。現時点で司法リスクがない。

2. 2019年以降はJERAによって大きな利益を享受することができる。JERAの収支水準として「 2025年度に純利益額2,000億円程度の水準 」

3. 2021年度には、重油、LNGよりも低コスト発電となる最新鋭の石炭火力発電所が武豊で稼働開始予定である。旧来の石炭火力より遥かにクリーンであり、そしてLNGよりも低コスト発電を実現して大きな利益を生むことができる。

4. 2020年代後半に経常利益2倍の目標としており、JERAの存在によって将来有望である。

もちろん、中部電力が原発再稼働を実現すればさらに大きな利益が得られます。仮に浜岡原発3号、4号、5号の3基が再稼働できた場合には、個人的な試算としては再稼働後には中部電力の株価2400円以上、年間配当100円~120円となる可能性が高いです。

ただし、中部電力は東電や関電とは違い、原子力規制委員会の適合性審査に合格している原発はありません。また、静岡県知事が大反対しており再稼働は見通せない状況にあります。

ですが、原発再稼働できない点をポジティブに考えると、原発再稼働をしていないことでいわゆる「司法リスク」がないことや、原発稼働時の事故を回避することができます。

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